保証人の相続放棄について
1 保証人になっていると、相続放棄をしても支払義務が残る
相続放棄を希望する理由として、よく挙げられるのが、亡くなった方が居住していた賃貸住宅の片づけや清掃費用の支払い、滞納家賃の支払い、亡くなった方が入院していた病院への支払いを行いたくないというものです。
相続人は、亡くなった方のあらゆる義務を相続するため、賃貸住宅の原状回復の義務や滞納家賃、治療費等の支払義務等も相続することになります。
特に孤独死した場合、残置物撤去や特殊清掃を業者に依頼すると100万円以上かかることも珍しくありません。
この点、相続放棄を行えば、あらゆる義務の相続もしなくて済むため、これらの支払も拒否できます。
しかしながら、賃貸や入院の際には、保証人を設定されていることがあります。
保証人になっていると、相続放棄をしたとしても、部屋の片づけのための費用や治療費を支払う義務が残ってしまいます。
2 保証人は、なぜ相続放棄をしても支払う必要があるのか
賃貸をした場合、借りた人には、賃貸人と賃借人との間で締結した賃貸借契約に基づいて賃貸住宅を原状回復する義務があります。
亡くなった場合、部屋を片付けて返却する義務や汚損した場合に清掃をして返却する義務は、この原状回復する義務の一環です。
つまり、本来は賃貸人である亡くなった方がやるべき義務を、相続人が相続して行わなければいけません。
裏を返せば、相続放棄をすれば原状回復義務を拒否できます。
病院の治療費も同じで、本来は入院した人が支払うべき治療費を相続して支払う義務を負います。
しかし、賃貸の保証人は、賃貸をした人が支払えなくなった場合に代わりに、保証人と賃貸人との間で行った保証契約に従って、原状回復を行ったり費用を支払ったり滞納した家賃を支払ったりする義務を負います。
つまり、賃貸した人が亡くなったどうかに関係なく、保証人として個別に原状回復する義務があります。
つまり、被相続人の債務ではありませんので、相続放棄をしたとしても免れることができません。
3 保証人になっていたら
もし亡くなった方の保証人になってしまっていたら、基本的には素直に応じた方が良いです。
なぜなら、本当に覚えがない場合や、強要された場合を除き、保証人としての支払を拒否することは極めて困難だからです。
支払を拒否しても、訴訟等を起こされると支払いせざるを得なくなり、支払わざるを得ない状況になる頃には遅延損害金等も膨らんでしまいます。
また、保証人として金銭を支払う場合には、あくまでも保証債務の履行として金銭を支払ったことを領収書等に残しておくとベターです。
被相続人の主債務を支払ったと見なされてしまうと、「法廷単純承認事由」というものに該当し、相続放棄に支障が出てしまう可能性があるためです。
4 保証人と似た名前の制度に注意
保証人と似て非なるものとして、公営住宅の身元保証人や、賃貸借契約の際の緊急連絡先があります。
これらは、保証債務として金銭の支払義務を負わないものもあるので、しっかりと内容を確認する必要があります。
自分が被相続人の保証人になっているか否かはわからないことも多いので、相続が発生した際は、賃貸借契約書等を調べてみる必要があります。






















